COVID-19 host genetics に関する研究

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This post is written in Japanese. Please check my post on our recent preprint, Tanigawa, Y. & Rivas, M. Initial Review and Analysis of COVID-19 Host Genetics and Associated Phenotypes. (2020). Also, you may have some luck with DeepL translator.

The COVID-19 host genetics initiative に関する,我々の研究活動について簡単に紹介します。

みなさまご承知おきの通り,新型コロナウイルスの感染拡大は,世界的なパンデミックをもたらしました。 感染者のうち,軽症のかた,重症化してしまう方など,症状の程度には個人差があります。 高齢者のほうが,平均的にリスクが高いということについては知られています。 しかし,年齢以外の要素が,どのように病気へのかかりやすさ,重症化のしやすさに関わっているのかは,よくわかっていません。

The COVID-19 host genetics initiative とは何か

The COVID-19 host genetics initiativeは,世界中の遺伝学者の叡智を結集して,COVID-19 の罹患リスク・重症化リスクの,遺伝的要因を調べるための共同研究の枠組みです。ここでの「host」というのは,ウイルスにとっての「宿主」という意味で,つまりは人間です。この,新型コロナウイルスの症状の顕れかたに関する,ヒトの遺伝的な要素を調べようというプロジェクトには,現在のところ100を超える世界中の大学・研究機関が関わっています

このイニシアティブの活動については,英語でいくつかのプレスカバレージがあります。たとえば,米国のサイエンス誌のニュース記事や,GenomeWeb(ニューヨークを拠点とする業界のウェブニュース)に紹介記事が出ています。これらの記事にも書かれていますが,ヘルシンキ大学,Institute for Molecular Medicine Finland (FIMM)の,Dr. Andrea Ganna や,FIMM の Director である Dr. Mark Daly が発起人となり,コラボレーションが呼びかけられました。

私が所属するStanford 大学も,Dr. Manuel Rivas 先生,Euan Ashley 先生, Carlos Bustamante 先生, Ben Pinsky 先生などのご尽力のおかげで,患者さんの遺伝子のはたらきを調べるための体制が整いつつあり,イニシアティブに参加しています。

Stanford 大学 Rivas 研究室での取り組み

我々は,患者さんたちの検体を使ったデータを取り始める前から,いくつかの解析をはじめました。とくに,共同研究先のみなさんが使える,レファレンスデータセットを整備する活動を推進しています。準備ができたものからGitHubのレポジトリに公開をしています。

サマリー・レベルのデータの公開

データセットを共有するといっても,患者さんの個人レベルのデータをいきなり共有するということは,個人情報保護などの観点から難しいものがあります。

そこで,我々は,多くの人から集められた「サマリー」のような情報のうち,COVID-19 に関わりの深いものを GitHub のページなどに公開しています。これらは,生物学的な意味はあるが,個人情報は復元できないような形になっています。

これらのサマリー・レベルのデータは,COVID-19 に罹患していない人から作られた,免疫などに関わる遺伝的多様性の「カタログ」というようなものだと考えることができます。これは,実際の患者さんたちのデータを,それぞれの研究機関が入手した際に,比較のベースラインとして活用することができます。

各病院・大学でのCOVID-19の患者さんの遺伝的多様性のばらつきと,我々が公開した「ふつう」の人の遺伝的多様性のばらつきを比べることで,COVID-19 の患者さんに偏ってみられる遺伝的な要因が発見できるのではないか,というのが,我々が提案している研究のおおまかなアイデアです。

サマリー・レベルのデータを用いた,COVID-19 host genetic 解析

では,具体的に,どのような,サマリー・レベルのデータが COVID-19 host genetic 解析に有用なのでしょうか? 我々は,ウイルス感染に関わりのある,免疫系に関係する遺伝子のはたらきに注目しています。

1) まず,すでに他のグループから出ている論文から,白血球の量などが,COVID-19 の患者さんと,そうでは無い人で異なっていることが示されています。これに着目して,各種の白血球の量を,遺伝的なプロファイルから予測するモデルをつくり,それに関わる遺伝的な因子を GitHub のレポジトリで公開しています。このモデルから出てくる「リスクスコア」と,COVID-19 に関連する疾患マーカー(COVID-19 そのものではないことに注意)との相関も示しています。

2) 他に,ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)という遺伝子領域の遺伝的多様性を,世界中の人種ごとに調べて,その頻度などの「サマリー」の情報を公開しています。

3) また,中国からの論文草稿で示唆された,ABO血液型と,COVID-19 のリスクの相関に関して,別の方法をつかって追試を試みています。

上記の 1) - 3) については,Rivas 先生と論文の草稿にして,公開しています。

Tanigawa, Y. & Rivas, M. Initial Review and Analysis of COVID-19 Host Genetics and Associated Phenotypes. (2020) doi:10.20944/preprints202003.0356.v1.

今後の見通し

今後も,COVID-19 host genetic 解析のためのリソースを整備して,GitHub のレポジトリで公開していく予定です。